一般的に言われている板金塗装というものは、「板金」作業と「塗装」作業に分類されます。
板金はボディのヘコミや傷の修復を指し、塗装はその名の通り塗料を塗ることを指します。
近年では高張力鋼板やアルミ合金パネルなどの新素材が採用されている車も増え、それに合わせて板金修理の技術や設備も進化しています。
ここでは一般的な鋼板の修理についてご紹介します。
損傷の酷い場合や、修復が困難な場合はパネルを交換するケースもありますが、一般的には修理となるケースが多いと思います。
主な方法としては、ハンマーやドリーと呼ばれる各種専用工具を使用してパネルを叩き出したり引き出したりしながら復元していきます。
ここで重要となるのは、損傷状況を正確に見極め、最終完成形を明確にイメージし、順序立てて打ち出し作業を行っていくことです。
ヘコミが大きいからといって力任せに叩き出しても元通りの形状には戻りません。
どういう力をどの方向から加えたらどのように変形するかということが理解できていないとなかなか復元することはできないので、板金作業者には車に使用されている素材に関する知識も求められます。
パネルの修理を行う上では、この板金作業でいかに原形に近づけるかということが非常に重要となります。
最終的にはパテを使用して修復面を整えるのですが、板金の段階で可能な限り原形に近づけておけば使用するパテの量も少なくて済みますし、その分経年変化によるパテの痩せ等のリスクも減らすことが出来ます。
板金作業でどこまで復元できるかは、技術者の腕の見せどころと言っていいでしょう。
塗装においては、丁寧な下地処理と的確な色合わせ、そしていかにクリーンな環境で均一な塗装作業を行うかが重要になります。
塗装前のプライマーサフェーサーの乾燥と研ぎが終わった段階でほんの少しでもパテのスアナやペーパー傷などが残っていたりするとそれが塗装面の仕上がりに大きく影響してきます。
塗料を吹き付ける前の下地処理の段階で、塗装面をいかに平滑に整えておくかが最終的にクオリティの高い仕上がりを目指す上で非常に重要となります。
また、色合わせにおいては、本来のカラーコードを元に調色を行っていく訳ですが、実際に塗装を行う時点での色合いは必ずしも新車時と同じではなく、経年劣化や紫外線の影響で色褪せやクリヤの劣化などが起こり、それによって色味が変わってきます。
全塗装を行う場合は別ですが、車輌の一部を塗装する場合はその変化した色に合わせていかなければ塗装した部分だけが浮いてしまう為、熟練の職人が現車から微妙な色の変化を読み取り、塗料を調合していきます。
実際に塗装を行う場合、塗装環境をしっかりと整えておくことが非常に重要になります。
ゴミやホコリのないクリーンな環境であることはもちろん、塗装作業時の気温によっても仕上がりが変わってきますので、換気と空調管理された専用ブースで熟練の塗装技術者が塗装作業を行います。
また、作業中に着用する防塵服もホコリを発生させづらいタイプの物を使用しブースに入る前には必ず全身をエアブローしてから作業にかかります。
塗装後の乾燥工程も、ブース内で温度管理された状態に一定時間置き、乾燥を促進させます。
修理例その1 (Before → After) |
修理例その2 (Before → After) |
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修理例その3 (Before → After) |
修理例その4 (Before → After) |
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